急に光が走って見えて、びっくりされている方へ
もしかすると、それは網膜剥離の初期症状かもしれません。
ボクサーが網膜剥離になって、引退を余儀なくされたと聞いたことはありませんか?
網膜剥離は自然に治る病気ではなく、放置していると失明に至る危険な病気です。
では網膜剥離と診断されたら、どうしたらよいのでしょうか?
今回は網膜剥離の初期症状と治療法について解説します。
光が走って見える!?
網膜剥離の初期症状と治療法について
網膜剥離とはどのような状態?

眼球の仕組み
目に入ってきた光は、角膜と水晶体(すいしょうたい)を通り、硝子体(しょうしたい)を通り抜けて眼底にある網膜に像を結びます。
この網膜が眼底からはがれてしまう病気が「網膜剥離」です。
では、網膜剥離になってしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
網膜剥離の原因は強い目に衝撃を受けた場合や、強度の近視の人がなりやすいといわれています。
また、年齢とともに目の中にある硝子体が変化して、網膜に接着している硝子体がはがれてくるときに、網膜に孔(あな)があけてしまうことがあり、この孔が網膜剥離の原因となります
網膜がはがれてしまうと、はがれた部分の網膜では見ることができなくなり、視野欠損を起こしてしまいます。
網膜剥離が黄斑部(おうはんぶ)にまで及ぶと、急激な視力低下を引き起こします。網膜剥離は放置していると、最悪失明しまう怖い病気なのです。
初期症状1.
光が走って見える

光視症(こうししょう)とは?
光が走って見えるのは、網膜剥離の初期症状の1つです。
実際には光っていないのに光が走って見えることを、「光視症(こうししょう)」といいます。
光視症には、光が走って見える以外にも
- 稲妻のようなものが見える
- 光がピカッと見える
- キラキラしたもの見える
といったような見え方をすることがあります。
このような光視症が起こる原因として、脳の血管のけいれんが原因になっていることもありますが、目そのものが原因となっている場合には注意が必要です。
硝子体が網膜と強く接着していた場合、網膜から硝子体がうまく離れずに網膜を引っ張ってしまうことがあります。
その刺激によって光視症があらわれるのです。
初期症状2.
黒いものが飛んでみえる

空に黒い点が飛んでいるように見える
「飛蚊症(ひぶんしょう)」という言葉を耳にしたことはありますか?
これは、読んで字のごとく黒い蚊のようなものが飛んで見える症状のことです。
飛蚊症も、網膜剥離の初期症状の1つです。
飛蚊症は生理的に起こることもありますが、硝子体が網膜を引っ張って破れてしまうときに、部分的に出血がおこることがあり、その出血が黒い点がのように見えたり、蚊が飛んでいるように見えたりします。
破れ目ができた状態はまだ網膜剥離にはなっていませんが、その破れ目から硝子体が入り込んでしまうと、網膜剥離をおこします。
光視症や飛蚊症があらわれたらどうしたらいいの?

目に異変を感じたら?
光視症や飛蚊症があらわれたら、まず眼科を受診しましょう。
問診で飛蚊症や光視症が、いつからどちらの目にあらわれたのかを、できるだけ具体的に伝えてください。
眼科では、眼底に異常がないかを調べるために眼底検査をします。
眼底検査をするためには、目薬を使って黒目を強制的に開かせます。
そうしないと、眼底をみるために強い光を当てた時に、瞳が収縮してしまい周辺の網膜まで詳しく調べることができないからです。
眼底検査をした後は、元の状態に戻るまで数時間かかります。
その間は光に対して眩しく感じたり、小さい文字が見えにくくなったりするため、眼底検査を受ける時にはサングラスを持ってくる、車に乗ってこないなどの注意が必要です。
眼底検査は、初診料を含めても3割負担の人で3,000円前後でできます。(詳しい検査が追加された場合、もう少し金額が上がることもある)
眼底検査についてまとめると
- 詳しく眼底をみるために、瞳を開く目薬をする
- 瞳が開くまで30分ほど時間がかかる
- 検査後、数時間は瞳が開いているため運転などできない
- 眼底検査は3,000円程度で行うことができる
網膜剥離と診断されたら?
治療法について

軽い症状ならレーザー治療で予防も可能
網膜剥離と診断されたら、基本的に治療方法は手術しかありません。
ただし、眼底検査をして網膜の孔がみつかり、まだ網膜剥離になっていなければレーザー治療で網膜剥離を予防することができます。
レーザー治療は、特定の波長のレーザー光で裂け目の周りを囲み、網膜を凝固させることにより硝子体の侵入を防ぎ、網膜剥離にならないようにすることができます。
レーザーで治療可能な場合は入院しなくても、外来で治療を行えます。レーザー時間は裂け目の範囲にもよりますが、おおよそ5分程度で終わります。
レーザー治療は、3割負担で30,000~40,000円と高額になります。医療保険に入っている場合は給付の対象になることもあるので、確認してみてください。
眼底検査をしてすでに網膜剥離になっていた場合は、入院できる施設で手術を行います。
手術ははがれている網膜の範囲や年齢によっても術式が異なりますが、基本は「硝子体手術」です。
硝子体手術とは、網膜剥離の原因となっている硝子体を除去する目的で行う手術です。
硝子体を切除するために白目の部分に小さな穴を開け、そこから細い器具を眼内に挿入し、硝子体を取り除きます。
硝子体手術では、硝子体を切除した空間に眼内にとどまる性質を持つ医療用ガスを注入します。
このガスは時間が経つと吸収されてなくなってしまい、眼内で水分に置き換わるのですが、
医療用ガスは空気より軽いので上方に向かう性質があります。そのため、術後うつむき姿勢を保って安静にしておかないと、網膜がうまく接着しないのです。
通常うつ伏せには手術後3~4日程度してもらわなければならないことが多いですが、期間については術後の状態により少し変わることもあります。
硝子体手術は3割負担の方で、100,000~150,000円ほどの費用+入院費用がかかります。
健康保険に加入している人なら、高額療養費制度が利用できるので、事前に取り寄せておくといいかもしれません。
まとめ

早期治療が大切
網膜剥離の初期症状と治療法について解説してきました。
網膜剥離についてまとめると
- 光が走って見えたり、黒いものが飛んで見えたら網膜剥離が疑われる
- 初期症状があらわれたら、眼科で眼底検査をしてもらうこと
- 網膜剥離の原因となる孔が見つかれば、レーザーで網膜剥離の予防が可能
- 網膜剥離になってしまっていたら、手術しか治療法がない
- 網膜剥離を放置していると、最終的に失明に至ることもある
網膜剥離の初期症状があらわれたなら、必ず眼科を受診して眼底検査を受けてください。
孔だけであればレーザーで治療できますし、網膜剥離の場合でもできるだけ早期に手術した方が、術後の結果が良好です。
以上、「 光が走って見える!?網膜剥離の初期症状と治療法について 」でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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